
リビューその166は先週末日本で公開になった「波浪注意報」です。
波浪注意報
(邦題:僕の、世界の中心は、君だ)
2005年作品
監督:チョン・ユンス
出演:チャ・テヒョン、ソン・ヘギョ
【ストーリー】スホ(チャテヒョン)は勉強も運動も大して得意でない普通の高校生。そんなスホが学校いちの美人で全男子生徒憧れの的であるスウン(ソンヘギョ)から告白を受ける。実はスウンは中学の頃からスホが好きだったのだ。はじめは戸惑うスホだが、次第に2人はお互いを大切に思うようになる。仲間と一緒に行くはずだった島への旅行に2人きりで出かけることになったスホとスウンはそこで幸せな時間を過ごす。ところが突然スウンが倒れてしまう。
【感想】ご存知「世界の中心で愛をさけぶ」の韓国リメイク版。主演は「猟奇的な彼女」のチャテヒョンとドラマ「秋の童話」「オールイン」のソンヘギョ。韓国ではソンヘギョのスクリーンデビューということで注目されましたが、封切り後あっという間に上映打ち切りになりました。私は東京シネマショー(試写会)で観たのですが、そんな大コケも納得できる出来でした。催涙メロなのに、とにかく泣けないんですよ。ストーリーに深みがない、つまり薄っぺらい感じがするんです。オリジナルの「セカチュー」はメインの回想シーンに現在のストーリーを絡めて奥行きを出していますが、韓国版は95%が高校生のシーン。それなら若くてフレッシュな役者をキャスティングしても良かったんじゃないかなぁ。ソンヘギョはまだしも30歳のチャテヒョンは高校生を演じるにはやっぱり無理があります。おじいちゃんの実らなかった初恋も泣かせの重要なポイントですが、韓国版ではおじいちゃんの職業を写真館から葬儀屋に変えており(これはこれで韓国らしいけど)、お葬式で初恋の相手の遺体を包むシーンが一番の泣かせどころなんでしょうが、ここでも泣けないんです。オリジナルで“しげじい”を演じた山崎務と韓国版のイスンジェとの演技の違いなのかなぁ。軍用列車で戦地に旅立つ彼を彼女が見送る駅での別れのシーンも「ラブストーリー(原題:クラッシック)」の真似にしか見えなくて泣けませんでした。設定変更により、ウエディングドレスを着て撮影するシーンも無くなって、ますます泣き所がないですねぇ。舞台となったコジュドの風景は、オリジナルの香川県とはまた別の美しさがあり、これは一見の価値あるかも。でも本当に泣きたい人は別の作品を選びましょう。チャテヒョンとソンヘギョのファン及び「セカチュー」の熱烈ファン以外にはおすすめしません。
【なあご的おすすめ度】 ★☆