その34は、東京国際映画祭コンペティション部門に出品された「風のファイター」です。日本でも「空手バカ一代」というマンガで有名な、極真空手の創始者である大山倍達(韓国名チェ・ペダル)の生涯を描いた作品です。2005年に全国ロードショウ予定です
風のファイター
2004年作品
監督:ヤン・ユノ
出演:ヤン・ドングン、加藤雅也、平山あや
【ストーリー】日本統治下の全羅北道。青年飛行士募集のビラを見たペダル(ヤンドングン)は日本に密航して航空学校に入るが、朝鮮人であるがために差別を受け飛行士の夢をあきらめる。終戦後、池袋のヤミ市で差別と戦いながら生きていたペダルは、少年時代にテコンドーを教えてくれたボムス叔と再会し、彼から空手の手ほどきを受けるようになる。ボムスの死後、山にこもって血のにじむような厳しい修行により石をも割る技術を習得したペダルは、下山して全国の道場を渡り歩き、次々と強敵を打ち破っていくのだった。日本空手界に君臨する加藤(加藤雅也)はそれを快く思わず、ペダルに挑戦状を叩きつける。だが、対戦した加藤の弟子の龍馬をはからずしも殺してしまったペダルは一切の対戦を拒否し、龍馬の妻と息子を助けて農作業にいそしむのだった。
【感想】この映画”トンデモ日本映画”(つまり、とんでもない日本描写をしている映画)と聞いていましたが、まさにそうで、笑っちゃいました。だれが時代考証や美術監督をしたんだろう。気になった点を挙げると、
①芸者役の平山綾、さすがに着物を左前には着てはいませんが、普段着まで振袖なんですよ。袖さばきが大変じゃなかったかと心配しちゃいました(笑)。芸者なのに芸事を披露している場面がないのは、平山綾には無理だったのね。
②龍馬役の人の前髪が異常に長い。戦時中にあんな髪型してた人いないよ。マンガが原作だからボウズ頭に変えられなかったんだろうなぁ。
③壁に貼られている掲示が横書きでしかも左から右に書かれていた。
④ペダルは姫路城で待ち伏せしていた黒装束の男に襲われるんですよ。そんな忍者みたいな服装して入城しようとしたら、係員に止められるに決まってる(笑)。ペダルもなんで胴着を着て姫路城に行くんだ?そこになぜか報道陣もいるし。ホント、マンガチック!
もちろん、日本人役の俳優のたどたどしい日本語も気になりましたが、ヤンドングンの日本語はかなり上手く、それも感情を込めていたのでびっくりしました。
彼は私が言うのもおこがましいですが、イイ役者ですね。ペダルの強いところと繊細なところを見事に表現してました。アクションもGOODです。それからボムス役のチョンドウホンがカッコイイです。アクション監督をするだけあって、さすがのアクションです。ヤンユノ監督が観ている日本人の反応が鈍かった、もっと楽しんで見て下さいと言ってましたが、もっとメリハリをつけないと、日本人は笑ったり泣いたりしないです。コメディでもなくメロでもない中途半端なストーリーが私のツボにははまらなかったなぁ。アクションを見たい、トンデモ日本映画を見たい人には薦めますが。
【なあご的おすすめ度】 ★☆