私は薬剤師です。市販の薬を手にすると、成分などをじっくり読まずにはいられません。同じ薬剤師の友人に「それ、職業病よ」と言われました。
この“職業病”が韓国映画を鑑賞していても頭をもたげることがあります。映画の医学・科学監修が気になるのです。
たとえば血。血は体外に出るとすぐに黒くなるし、凝固します。だから数時間以上経った血痕は黒くなければなりません。血液は液状ではなくゼリー状です。「カル」は“ハードゴア(ゴアは血糊の意味で、ハードゴアは血が飛び散るシーンが多くあるホラーやスリラー作品)”に分類される作品ですが、私にはあのエレベーターの中でのグロいシーンでさえリアリティを感じられず、怖くありませんでした。
「拍手する時に去れ」では薬物が気になりました。だって青酸カリで死んだのなら死体を一目見ればわかるし、バルビツールなら薬包紙で包めないほどの量を飲まなければならなかったはずです。あの細部までこだわっている「怪物(グエムル)」でさえ、採血する針が太すぎる、伝染病の患者でディスポ(使い捨て)を使ってないのはおかしい、と私は引っかかってしまうのです。
クァク・キョンテク監督は医学部で学んだことがあるだけあって、「ドクターK」にしても「タイフーン」にしても医学的な描写にはそれなりのリアリティがありました。でもほとんどの韓国映画は医学監修がきちんとしてません。アメリカのドラマ「ER」や日本の「救急救命病棟」あたりはかなりちゃんとしてるんですけどね。
韓国では秋から冬にかけて医学ドラマが目白押しとか。今撮影の真っ最中のキムミョンミン、ユジュンサン、キムテウらが出演する映画「千の下」も医学スリラーですよね。同じく今撮影中で、ハンソッキュの久々のメロとして話題の「愛する時、話すること」で彼は薬剤師を演じます(↓の写真)。
これらの作品で、医学シーンにどれだけリアリティが出てるか、突っ込むのが楽しみです。
でもこんなところが気になるのって、私だけかしら?