リビューその144は前述の「アガタ」です。
アガタ
1985年作品
監督:キムヒョンミン
出演:イ・ボヒ、ユ・インチョン
【ストーリー】父の仕事の関係で教会で育ったヘリ(洗礼名アガタ、イボヒ扮)は修道女を目指して修道院に入る。ところがたった一人の肉親である父の危篤の知らせを受けて、アガタは悩んだ末にその道を断念して家に戻る。アガタや教会のダドゥ神父(ユインチョン)たちの看病も空しく父は息を引き取るが、その後、神父が同じ病に罹ってしまう。責任を感じたアガタは神父の看病を熱心にするが、ある日、彼に抱きすくめられて愛を告白される。前々からほのかな好意を寄せていた神父に告白されて揺れるアガタだったが、彼への思いは日に日に募るようになる。そのうちに信者の間で2人のうわさが広がる。ある晩、恋しくて神父のもとを訪れたアガタは、彼が自分への思いを断ち切るために熱心に祈ってるのを目撃し、教会を去ることを決心する。上京したアガタは学生時代の恋人ヒョヌク(キムウォンソム)の元に身を寄せるようになる。しかしヒョヌクには婚約者がいた。それを知り彼の元を去るアガタだが、彼女はすでに彼の子供を妊娠していた。
【感想】カソリックが根付いている韓国ならではの作品です。恋愛と信仰の板ばさみにあって悩む神父の話はよくありますが(「恋する神父」クォンサンウもそうですよね)、悩むのが相手の女性というところがちょっとユニーク。ただのお堅いキリスト教映画かというと、そうではなくて、サービスショットとも思える濡れ場シーンもある娯楽作品になっています。純粋であるがゆえに上手く立ち回れないアガタがかわいそうに思えて、私は涙を流しました。「私の頭の中のケシゴム」でも「連理の枝」でも泣かなかった私が泣いたというのに、周りはだれも泣いてなくて、ちょっと恥ずかしかったけど。それほど、私は主人公アガタに感情移入ができました。だから、アガタの心に火をつけておいて、自分だけ引いてしまう神父は許せんなぁ。
アガタを演じたイボヒは往年の美人女優。確かにとてもキレイだし(修道院の中なのにアイライナーが濃いところは笑えるけど)、可憐な前半とぼろぼろになる後半のアガタをうまく演じ分けています。ユインチョンも悩む色男神父を好演しています。20年以上も昔の作品のせいか、突っ込みたくなるところも多くありますし、ラストもいかにもキリスト教的ですが、全体的によくまとまってる作品だと思います。
【なあご的おすすめ度】 ★★★