怒涛(?)のリビューを締めくくるのは、これも昨年公開されてヒットしたカムウソン主演の戦争ホラー、「R-ポイント」です。
R-ポイント
2004年作品
監督:コン・スチャン
出演:カム・ウソン、ソン・ビョンホ
【ストーリー】ベトナム戦争末期、全滅した部隊で1人生き残ったチェ中尉は怪我から回復してもなお悪夢に悩まされていたが、無常にも新たな任務がいい渡される。派遣部隊が全滅したと思われるR-ポイントから継続的にSOSの緊急無線が送られてくるため、その場に赴き生存者の有無を確認するという指令だった。チェ中尉率いる一隊9人がR-ポイントの入り口に到着すると、そこには「手に血の付いた者は帰れず」と彫られた碑があった。昔この付近では住民の虐殺が行われていた。どこかしら心に傷をもつ隊員たちは、次第に幻影に取り付かれるようになる。果たして彼らは任務をまっとうして1週間後に無事に基地に戻れるのか。
【感想】戦争ホラーということで、かなり怖いです。最近観たホラー作品の中で最も怖い部類に入ります。しかも携帯電話も通じない僻地の病院の質素なゲストハウスで雨の降りしきる夜に観てしまったので、怖さ倍増でした(笑)。ホラーの手法として一般的な、心に傷を持つ登場人物がみる幻影が主体になっているのですが、その見せ方がうまいです。第三者がどこからか彼らを見ているような映像は怖さをそそります。でもホラー嫌いの私に言わせれば、何が言いたいのかわかりません。衝撃的な結末はなぞをなぞのまま残した感じで、訳がわからないです。希望のカケラもないですし。人間の弱さ、エゴイスティックな部分を描きたかったのでしょうか。主演のカムウソンは「蜘蛛の森」に引続き、シリアスなストーリーを甘さを抑えて演じています。悲しみを背負った男の役も似合います。チン中佐役のソンビョンホを初め、隊員たちも狂気の演技を熱演しています。建物の中のシーンを除き大部分がカンボジアで撮影されたようで、その映像にもリアリティが感じられます。でも舞台になったベトナムのニャチャン郊外にもチャンパの遺跡はあるけど、本作にでてくるのは明らかにアンコールワット周辺だってわかるので、ちょっと興ざめかな(仕事でどちらにも行ったことがあるんです)。私はまったくはまれませんでしが、ホラー好きの方には一見の価値があると思います。
【なあご的おすすめ度】 ★★