リビューの218本目は5月1日に公開される「追撃者」です。1年前にソウルで観て、字幕ナシでもその年観た韓国映画のベストに挙げるほど良かったので、日本公開を楽しみにしていました。試写会で一足先に鑑賞しました。
追撃者(邦題:チェイサー)
2008年作品
監督:ナ・ホンジン
出演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ
【ストーリー】元刑事で今はデリヘルを経営するジュンホ(キムユンソク)は、配下のデリヘル嬢2人が消えてしまい、契約金1000万ウォンを持ち逃げされたと怒る。そのうちの1人が乗り捨てた車の中から彼女の携帯電話を見つけ、誰かが彼女達を売り飛ばしたのではないかと疑うようになる。彼は、彼女たちが失踪直前に取った客の電話番号が同じであり、そして今しがた風邪で今夜は休みたいというミジン(ソヨンヒ)を無理やり行かせた相手もまた同じ番号だと気づく。相手の家に着いたらトイレで電話しろとミジンに指示したが連絡がないため、捜索に乗り出したジュンホは、彼の車と衝突事故を起こした男ヨンミン(ハジョンウ)の服に血が付いているの見て彼がその男だと確信し、逃げる男を追跡してついに捕まえる。
【感想】久しぶりに映画の醍醐味を味わいました。いやぁ、面白い!2度目の鑑賞でオチがわかっているというのにハラハラドキドキ、最後まで続く緊張感。観客の予想を何度も裏切るストーリー展開。だって開始30分ほどで犯人は捕まり、あっさりと殺人をゲロしちゃうんですよ。「追撃者」ってタイトルだから、犯人と主人公のおっかけっこだと思うじゃない!でもその予想の裏切りが心地いいんです。ラストも意外でそれが気に入りました。私は主人公のジュンホにどっぷりと感情移入が出来ました。彼の怒り、やるせなさ、悲しさが自分のもののように感じられたんです。そのジュンホ役のキムユンソク、カッコいいですよぉ!彼のしっかりとした演技力が映画の要になっています。走るシーンも沢山あったし、暴力シーンも沢山あって、体力的にかなり大変だったでしょうね。ハジョンウは、殺人鬼を時に飄々と時に不気味に演じています。彼の演技もすごい。この2人の演技対決にゾクゾクしました。ソヨンヒの薄幸な女もいい。いい脚本と役者の素晴らしい演技、説得力のある映像が相まって傑作が生まれたという感じです。ナホンジン監督、恐るべし!文句なく今年の韓国映画ナンバーワンです。連続殺人事件を扱った物語ですからグロいシーン満載ですが、だからこそ心に響いてくるので、ぜひ覚悟を決めて鑑賞してみてください。
【なあご的おすすめ度】 ★★★★★