チャンジン監督来日記念ということで、リビューの213本目はチャンジン脚本・製作の「正しく生きよう」にしました。監督はチャンジンの弟子のラフィチャン。本木雅弘が主演した日本映画「遊びの時間は終わらない」のリメイクで、オリジナルを観てからリビューしようと思ったのですが、ケニアに来てしまったので、その前にUPしちゃいます。
正しく生きよう
2007年作品
監督:ラ・フィチャン
出演:チョン・ジェヨン、ソン・ビョンホ
【ストーリー】刑事課から交通課に異動になったドマン(チョンジェヨン)は真面目で正義感が強いけどちょっと融通が利かない警察官。交通違反をしたのが彼が所属するサンポ警察に赴任してきた新署長イスンウク(ソンビョンホ)とわかっても違反キップをきるほどだ。サンポ署管内は最近銀行強盗が多発しており、その対策のためにイ署長は模擬訓練を思いつく。各役割はクジで決められたが、ドマンはイ署長に呼ばれ、内密に犯人役を言い渡される。ドマンはイ署長の「リアルにやれ」という指示を実行すべく、熱心に銀行強盗を研究し当日に備える。そして筋書きのない銀行強盗劇が始まった。逃げ遅れたドマンは本物の銀行強盗がするように、行員や客を人質にとり、銀行を封鎖して立てこもった。SWAT部隊が到着する前に事件を解決しようと目論んでいたイ署長は思わぬ誤算に地団駄を踏む。
【感想】オリジナルを観てないので、どこまでオリジナルを踏襲し、どこまでが新しいプロットなのかわからないのですが、いくつもの布石がしっかり置かれているなど、脚本がしかり練られていますね。事件が生中継されるというのはチャンジンお得意のコメディセッティングですし、群像劇なのも演劇出身のチャンジンならではです。ラフィチャン監督は同じチャンジンの弟子で「トンマッコル」を撮ったパククァンヒョン監督と違って、かなりチャンジン的な撮り方をしています。長回しのショットもありますし、銀行のセットもいかにも舞台的です。笑いを誘う絶妙な間も、ベタな音楽の使い方もチャンジンのそれと似てます。逆に言うと、ラフィチャン監督らしさは何だろうと考えてしまいました。インサートがチャンジンよりも多いかな。そのインサートカットで登場人物のキャラや心情を表現しています。特に、冒頭の朝の身支度のシーンの一連のカットはドマンの真面目で折り目正しい性格を雄弁に語ってました。
主演のチョンジェヨンは、このような真面目で朴訥なキャラを演じさせたらピカイチです。大げさにじゃなくて、フツーに真面目にやってて笑える。これってコメディの王道だよね。署長役のソンビョンホもすばらしい。ドマンの敵なのか味方なのか微妙なところを見事に演じています。その他、チャンジン作品でお馴染みの、一癖も二癖もある役者たちがワキをかためています。
チャンジンのファンでもそうでなくても、かなり笑える、楽しい作品です。
【なあご的おすすめ度】 ★★★☆