韓国映画リビューの210本目は「角砂糖」です。昨年の韓フェスで観た方も多いと思います。
角砂糖
2006年作品
監督:イ・ファンギョン
出演:イム・スジョン、パク・ウンス
【ストーリー】シウン(イムスジョン)は母親を早くに亡くし、父親(パクウンス)とチェジュドの牧場で暮らしている。牧場の馬たちは彼女の友達だ。とりわけ嵐の日に生れ、直後に母親を亡くしてシウンが母親代わりを務めたチョンドゥンイは彼女の大のお気に入り。彼らは母親のいない寂しさを慰めあって成長した。だが父親(パクウンス)はチョンドゥンイを香港に売り飛ばしてしまった。中学を卒業したら騎手学校に入りたいと思っていたシウンは父親に反対されるが、それを振り切って騎手学校に入る。厳しい訓練に耐え女性騎手となったシウンは使役馬として働いているチョンドゥンイと再会する。
【感想】登場人物の善悪がはっきりしている、つまりはキャラが単純。だから複雑な人間の内面を繊細に描くという感じではないです。焦点がシウンとチョンドゥンイに絞ってあり、話が散漫になってないところはいいですね。年頃の女の子が登場して恋愛の要素が全くないのはめずらしいかも。ただドラマチックすぎるストーリーは、いかにもフィクションって感じがして泣けませんでした。特にラストがねぇ。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、あそこでああいう選択は現実にはしないだろうな。
イムスジョンはすっぴんでシウンを好演しています。騎乗シーンはイマイチだけど、涙のシーンなどやっぱり演技は上手いです。そして調教師を演じた2人、ユオソンとチェハンナクが役をしっかり作りこんでいて見事でした。そしてお馬さんたちもがんばりました。出産シーンもかなりリアルだったし、厩舎で怒鳴る役者たちを見て「サラブレットって神経質なのに大丈夫かなぁ」なんて心配になったくらいです。
映像的には、クレーンを多用してチェジュドの景色を鳥瞰的に美しく撮っています。チェジュドの宣伝にも使えそうなくらい美しい(笑)。
総合的すると、まあまあってところかな。ドラマチックで胸を打つストーリーなので、どっぷりはまって号泣できる人もいると思います。私は同じ競走馬を扱った日本映画の「優駿」のほうに軍配をあげるけどね。それにしても、名馬は韓国でも日本でも嵐の日に生れるのね(笑)。
【なあご的おすすめ度】 ★★