キムアロン監督を紹介したので、その作品「ララ・サンシャイン」をリビューします。この作品を観た日本人はあまりいないと思うので、コメント0も覚悟です(笑)。
ララ・サンシャイン
2008年作品
監督:キム・アロン
出演:ヤン・ウニョン、イ・チャンヨン
【ストーリー】脚本家のスジンは、子供の頃にチェロの先生にレイプされたトラウマから、だれも愛することができないでいる。そんな彼女は次の作品のためにある殺人事件の取材を始める。アートギャラリーで画家にレイプされた女性がその直後に相手をハサミで殺害した事件で、加害者の女ミラは無罪になっていた。スジンはこの事件が正当防衛を装った計画殺人だと疑う。そして彼女がその画家に幼い頃にレイプされていたとの仮説を立てる。スジンはシナリオの中で主人公ララとなり、ミラと会って話しをする。
【感想】現実で起きていることとシナリオの中で進行するフィクションが交錯する不思議なストーリー構成です。その境を曖昧にすることによって観客のイマジネーションを刺激しています。確かにちょっとわかり難くて、もう一度観たいと思いました。
そして、とにかく映像が美しい。特にアングルとライティングにこだわっているのがわかります。人物を真正面から捉えず画面の端に置いて、余った空間でその人物の性格や心情を表現しているんです。上の写真(今回は少し大きく載せました)からもスジンの孤独感が伝わってくるでしょ。そのスジンを演じたヤンウニョンは商業映画ではあまり見かけないですが、この作品ではトラウマを持つスジンをしっかり消化し、彼女をミステリアスにそしてしっとりと演じていて好感が持てました。
63分という長編というには短い作品で、これからかなと思った時に終わってしまった感じがしましたが、それが逆に新鮮でした。ホント、もう一度観たい。でも、商業作品でなく劇場公開には中途半端な長さなので、機会はかなり限られるかもしれません。
【なあご的おすすめ度】 ★★★☆