「ガン&トークス」「公共の敵2」「青春漫画」など、数々の韓国映画に出演している、チョンギュス。特徴あるフェイス、甲高い声、小柄な体格で、一度見たら忘れられないほど印象的なのに、スクリーンの中では主役のもりたて役に徹している、そんな名脇役のチョンギュスが日本で舞台に立つというので、新宿まで見に行って来ました。
その芝居は「足跡の中で」という劇団青羽(チョンウ)の公演。タイニーアリスという小劇場が主催するアリスフェスティバルの演目として招聘されたのでした。
劇団青羽は演出家のキムガンポを中心に1994年に旗揚げされ、社会的問題に切り込んだ作品を発表し続けている、ソウルでも注目の劇団。「足跡のなかで」は2007年のソウル演劇祭で作品賞・脚本賞・演出賞を受賞し、同年札幌アートレスティバルにおいても上演されて審査員特別賞を受賞している作品です。
ストーリーは、
街はずれの米屋だった家に越してきた駆け出しの画家に、近所の人たちは元通り米を置いてくれと懇願する。仕方なく米を置き、その米の袋に描いた絵が有名になった画家は個展を開くまでになる。その後近隣住民の要請により日用雑貨を次々置くようになるが・・・
というもの。
“社会的主題意識と演劇的方法論の深化を模索して来た劇団”というだけあって、この作品もメタファー(隠喩)が沢山あって、哲学的。夢の夢眠社に似た印象を受けました。映画にしても芝居にしてもエンターテイメントであってほしいと思い、単純に笑って泣ける芝居が好きな私の好みにはちょっと合わなかったかな。
主演のイホンジェ(上の写真右)は、ダルビッシュにちょっとだけ似てるイケメン。難しい役をがんばってこなしてました。
そして村人1を演じたチョンギュス(下の写真)は、映画と同じく、いい味出してました。彼が登場すると、舞台がふっと和む感じがするんです。セリフの間が絶妙だし、ヒョコヒョコと歩くだけでも滑稽で面白い。それでいて主役を立てて出しゃばらないところは、まさに名脇役です。彼の演技をナマで間近に見られただけでもラッキーでした。
韓国の芝居を日本語字幕付きで観られる機会はそうないので、これからも日本に居る時は(職業柄これが少ないから問題なんですけどね)積極的にこの手の催しに参加したいと思います。
ああ、「青森の雨」が観たいなぁ。