リビューその173はソウル訪問記で触れた「離れの客とお母さん」です。私が今までに観た韓国映画の中で一番古い作品です。
離れの客とお母さん
1961年作品
監督:シン・サンオク
出演:チェ・ウニ、キム・ジンギュ
【ストーリー】結婚してほどなく夫と死別したチョンスク(チェウニ)は婚家に残り、姑とともに1人娘のオッキを育てている。その家の離れに夫の友人で学校の先生であるハンソノ(キムジンギュ)が下宿することになる。オッキは彼になつき、父親のようにしたうようになる。ハンソノは若く美しいチョンスクに惹かれるようになり、チョンスクもまた彼を憎からず思うようになる。しかし2人は周囲の目を気にしてなかなか近づけない。そのうちに下女の妊娠が発覚し、その相手がハンソノであるとのウワサがたつ。
【感想】なんて奥ゆかしいんでしょう。お互いに好意を寄せているのに視線さえ合わせられないなんて、最近の韓国映画にも日本映画にもない奥ゆかしさです。それは同時進行で描かれる下女と卵売りとのオープンな恋との対比でより鮮明になります。ラストは現代人の感覚だと納得いかないかもしれません。でもそこが当時の世相を反映しているようで興味深い。当時のトップ女優、チェウニの清楚な美しさと、トップ男優キムジュンギュのソフトな男らしさがいいですし、娘のオッキちゃんがなんとも愛らしい。映像はオーソドックス。カメラは目線かそれよりもちょっと下の位置にほぼ固定されています。俯瞰のショットさえありません。確かに古風な作品でそこがこの作品のよさかもしれません。韓国人が選ぶ韓国映画ベスト10の3位に入ったのも納得です。
【なあご的おすすめ度】 ★★★