シネマコリアの上映作品が発表になりました。韓国映画6作品のうち、私は3作品を鑑賞済み。それらのリビューを順次UPしていきますね。どれを観ようか迷った場合に参考にして下さい。まずはチャンジン監督のヒット作「拍手する時に去れ」から。
拍手する時に去れ
2005年作品
監督:チャン・ジン
出演:チャ・スンウォン、シン・ハギュン
【ストーリー】高級ホテルの1室で刃物でメッタ刺しにされて死亡した女性が発見される。警察はポリタンクに入ったガソリンを持ってホテルの周りをうろついていた男ヨンフン(シンハギュン)を逮捕し取り調べを始める。その模様は警察がテレビ局に協力して全国生中継されることになる。チェ検事(チャスンウォン)はヨンフンを尋問するが、彼は殺そうと思って彼女を訪ねたがすでに死んでいたと主張する。警察は死亡推定時刻に彼女の部屋を訪ねた人物を割り出そうとするが、なぜかその階の監視カメラはその時刻に作動していなかった。ホテルの従業員、被害者の隣の部屋に泊まったカップルなど疑わしい人物は増えていき、捜査は壁にぶち当たる。この状況を打開するためにテレビ局側はムーダン(霊媒師)の招聘を提案する。
【感想】チャンジン的なコメディを期待すると肩透かしをくらいます。小ネタでクスっと笑わせる遊びの場面はあっても、基本的にはシリアスで緻密な推理劇です。“劇”と言ったのは、もともとが舞台劇であるだけに舞台的な設定が多いから。たとえば、中央に長いオープン階段のある捜査班部屋のつくりはいかにも舞台的です。それからチェ検事とヨンフンが2トップではあるのですが、それ以外に個性豊かな人物を何人も配して(それがみんな胡散臭い)群像劇のようになっている点もきわめて演劇的、というかチャンジン的です。映像も非常にスタイリッシュ。
私は英語字幕で鑑賞したのですがこれが非常に硬くて解りずらい。捜査劇ということで、おそらく原語でも硬い言い回しなのでしょう。それが直訳されると微妙なニュアンスや含みがわからないんですよ。昨年のみちのくミステリー映画祭で日本語字幕で鑑賞した友人に聞いても解りずらかったとのこと。「カル」のように謎がいっぱい、というか解釈を観客に委ねているところが沢山あるってことかな。あのセリフや役者の表情は何を示唆しているんだろう、あのシーンは何を意味しているんだろうと、あれこれ考え込みました。それに私はなまじっか医療知識があるので薬物のところでも混乱させられました(医療監修者いたのかなぁ)。
チャスンウォンはコメディ色を控えて有能な検事をクールに演じています。エキセントリックな容疑者を演じたシンハギュンとの対決は圧巻です。シンハギュンは今回ナイスバディも披露しています。シングのちょっとすっとぼけた感じもいい。その他、チャンジン師団の役者が多数出演していますが、その中で捜査官を演じたチャンヨンナムとリュスンニョンの落ち着いた演技が印象的でした。
この作品、取っ付きにくいけど1度観ると2度も3度も観たくなる、そんな感じです。きっと韓国でもリピーターが多かったんじゃないかしら。私もシネコリで日本語字幕でリピート出来るのを楽しみにしています。
【なあご的おすすめ度】 ★★★☆