リビューその157は「How Does the Blind Dream」という42分の中篇作品です。監督は人気俳優のユジテ。ショートショートフィルムフェィティバルで鑑賞しました。
How Does the Blind Dream(盲人はどんな夢を見るのか)
2005年作品
監督:ユ・ジテ
出演:オ・グァンノク、チョン・ヘジン、オ・ダルス
【ストーリー】男(オグァンノク)は生まれつき目がみえなく、それゆえ平静な人生を送れるだろうと母親から言われていた。鍼灸師として日々の糧を得ながら、一人で暮らす平穏な日々。だか男にはそれを破ってしまいたい欲求もあった。彼の元に通う若い患者(チョンヘジン)はそんな彼の心を見透かすように官能的な男と女の世界の話を始める。男は見たこともないサンバの熱気にうなされ、空想にふけるようになる。そして、彼女の治療中に思わぬ行動に出てしまう。
【感想】彼の前作「自転車少年」は江原道の村に住む男の子の生活を淡々と描いた作品ですが、本作はそれとはストーリーもテイストも撮り方も異なる作品でちょっとびっくりしました。主役の盲人役のオクァンノクと同じく盲人役のオダルスは、今の韓国映画界にはなくてはならない個性派俳優で、たとえ登場シーンが短くても我々に強烈な印象を残します。そんな彼らが本作品では抑えた演技を披露しているのが印象的でした。ユジテは役者としてもそうですが、監督としても抑えた演技を好むようですね。映像は彼らの繊細な表情をアップを多用して丁寧に追っています。煩悩(=女性)のメタファーとして白いゴキブリが登場するのも面白い。全般的にファンタジックな内容なのですがラストが重いので、娯楽として楽しんでみるには限界があります。でも非商業作品としてはなかなかの出来ではないでしょうか。
【なあご的おすすめ度】 ★★☆
【おまけ】Seminarの講師として登場したユジテ、濃紺のスーツは長身の彼に似合ってそれはそれはカッコよかったです。短編映画製作についてのセミナーということで、もっとアカデミックな内容になると思っていたのですが、司会の古家さんは観客のほとんどを占める韓流ファンの知りたいことを上手に聞き出していて、楽しめました。