リビューの145本目は昨年日本でも公開された「南極日誌」です。韓国でも日本でも興行的にコケちゃったことは承知で、ユンジェムンとパクヒスンという2人の役者を目当てに鑑賞しました。
南極日誌
2005年作品
監督:イム・ピルソン
出演:ソン・ガンホ、ユ・ジテ
【ストーリー】南極の到達不能点を目指す韓国隊の6人は途中で1922年にこの地を訪れたイギリス隊の日誌を発見する。過酷な行軍のなか、体調を突然崩したジェギョン(チェドンムン)が脱落して行方不明になる。悪天候のために無線が通じず、通信担当のソンフン(ユンジェムン)は150キロ南東のノルウェ基地に救助を求めに行くよう提案する。しかし隊長のドヒョン(ソンガンホ)は「偉大な探検のために犠牲はつきものだ」と行軍続行を決定する。天候が回復しても無線は通じず、隊員たちは苛立ちはじめる。そのうち今度はソンフンがクレバスに落ちて遭難する。まるでイギリス隊の南極日誌に書かれているように1人また1人と脱落していく隊員たち。残った隊員の神経も少しづつ蝕まれていく。隊長は予定内に到達不能点に行き着くことが生きる唯一の道だと説き行軍を強行する。そんな中、隊長に心酔していた最年少のミンジェ(ユジテ)は副隊長のヨンミン(パクヒスン)から隊長の10歳の息子が自殺した話を聞く。
【感想】隊員たちの神経を麻痺させる真っ白い世界や突然襲ってくるブリザードなど、南極の過酷な自然を再現した映像は素晴らしいと思います。白銀の大地と青い空に赤い荷物シートや黄色のテントのコントラストも美しい。撮影、大変だったでしょうねぇ。演じる役者は実力派揃いです。ソンガンホ、ユジテはもちろん、チェドンムン、パクヒスン、ユンジェムン、キムギョンイクはいずれも過酷な状況の中で精神を蝕まれていく隊員を渾身の演技で表現しています。ただ、映像と役者の演技だけでは、観客を感動させることはできません。人の心を動かすドラマがないとね。その点、本作品は所詮ホラー映画であり、困難に立ち向かう男たちの壮大なドラマや彼らの熱い友情物語を期待すると肩透かしをくらいます。オチのない結末で、観終ったあとに空しさが残ります。ホラーが苦手は私としては、ホラー好き以外には積極的におすすめするつもりはありません。でも、映像と役者たちの演技は観る価値があると思います。
【なあご的おすすめ度】 ★★☆