リビューの79本目はキムキドク監督がベネツィア映画祭で銀獅子賞を受賞した「空き家」です。「快傑春香」で現代のモンニョンを好演したチェヒ君目当てVCDをゲットしました。
空き家
2004年作品
監督:キム・キドク
出演:イ・スンヨン、チェヒ
【ストーリー】テソク(チェヒ)はバイトで中華料理屋のチラシを家のドアに貼るかたわら、そのチラシがそのまま残っている留守宅に上がりこんでそこに滞在するという生活を送っていた。ある日留守だと思って忍び込んだ家で、顔にアザがある美しい女性ソンファ(イスンヨン)と出会う。一旦は逃げ出したものの、彼女が気になって戻ってきたソテクは夫が彼女に暴力を振るうのを目の当たりにする。ソテクは思わずゴルフボールで彼を打ちのめし、ソンファと逃げ出す。忍び込んだ家で部屋をキレイに掃除し、汚れ物を洗濯し、壊れた物を直す律儀なソテクとともに生活するうちに、すさんだソンファの心も癒されていくのだった。ある日、2人は忍び込んだ家でだれにも見取られずに死んでいる老人を見つけて丁寧に葬ってやるが、訪ねてきた息子に誤解されて、殺人容疑で警察に捕まってしまう。
【感想】他のキムキドク作品と同様、主役の2人にセリフはほとんどありません。だからこそ観客を納得させるような演技が必要になってくるのですが、この2人は抑えたアクションでそれを表現しているのに感心しました。すごい「目ぢから」です。特にチェヒ君のキリリとした眉毛と鋭い視線、それにナイスバディに完全にノックアウトされました(笑)。ストーリー的には、はじめはテソクが独房でとる行動(看守から徹底的に隠れる)が理解できなかったのですが、最後にはちゃんとオチがあり、消化不良感はありません。異常な愛も「大人のファンタジー」としてみれば納得できることがわかりました。今まで観たキドク作品の中では、一番好きかな。キドク作品が苦手な人でもイケるかもしれないよ。まあ、生粋のキドクファンに言わせれば「毒が薄れた」んでしょうけど。
【なあご的おすすめ度】 ★★★☆