リビューの222本目はカンウソク監督の「カンチョルジュン 公共の敵1-1」です。韓国では昨年公開されて400万人以上を動員しました。
カンチョルジュン 公共の敵1-1
2008年作品
監督:カン・ウソク
出演:ソル・ギョング、チョン・ジェヨン
【ストーリー】江東署強力班の刑事カンチョルジュン(ソルギョング)は、日夜、悪党たちを捕まえるために骨を折っていたが、新しい家に住もうと銀行にローンの申し込みに行った際に刑事という職業のために断られ、刑事なんて辞めてやる!と上司(カンシニル)に辞表を叩きつける。次の事件が解決したら辞表を受理して退職金の支払手続きを行うと上司に言われ、しぶしぶ捜査を始めた彼は、その高校生殺人事件がプロの仕業であること、そしてその高校生の指紋がその1週間前に起きた食肉倉庫での殺人事件の凶器についていた指紋と一致することを知り、この2つの殺人事件の背後に黒幕がいるとにらむ。高校生のクラスメートのカバンからコソンという会社の名刺を見つけたチョルジュンは、この会社の会長イウォンスル(チョンジェヨン)に眼を付ける。
【感想】大ヒットシリーズの「公共の敵」、しかも今回は脚本がチャンジンということで期待が大きかっただけに、少々がっかりしてしまいました。今回はコメディ色を強くしたんでしょうが、それほど笑えなくてその分役者たちの大げさな演技が鼻に付きました。チョルジュンが駄々をこねてる子供にしか見えず、彼をガンバレ!って応援したくならなかったんです。最後の一騎打ちなんてまるで子供のケンカだもんなぁ。おそらくタリバンなど少年兵を養成する過激派組織をモチーフに作ったストーリーだと思うけど、それだったら少年たちがヤクザ組織に惹かれる訳や組織に洗脳されていく過程をもっと丁寧に説得力を持って描かなくちゃ、極悪非道な悪党VS熱血刑事という観客が感情移入しやすい構図が明瞭にならないのに。そもそも少年兵の話を韓国に置き換える段階で無理が生じている感じがします。カンウソク、「韓半島」でも李朝末期を近未来にシンクロさせて設定に無理を生じさせていたよね。ユヘジンとかムンソングンのくだりは本当に必要だったか疑問。細かいエピソードを盛り込みすぎてピントがぼけてしまった感じがしました。
映像的にはカンウソクらしくてうまいなぁというところもあったけど、今の若手監督の中にはもっと斬新でスタイリッシュな映像で観客の心をひきつける人は沢山いるから、オーソドックスって感じもしなくはありません。日本語字幕が付いたら笑えるのかなぁ。来月の福岡アジア映画祭で上映されるので、お近くの方はその点をぜひ確かめてみてね。
【なあご的おすすめ度】 ★★